執筆活動などに支払われる報酬である原稿料と印税について解説します。
ともに、報酬という点では同じですが、その性格が異なります。
そのちがいに着目して解説いたします。
 

原稿料について

●基本的な考え方
 
原稿料とは、執筆のために時間や労力を割いたという労働への対価で、1回限りの支払いです。
※原稿の依頼者が作品を転用した場合には、執筆者に新たに原稿料・再使用料を支払わなければなりません。
(以下の計算に、実際には消費税分が加算されます)
 
《例》
1枚5千円で10枚の原稿の原稿料(400字詰め原稿用紙1枚の原稿料を単価とした場合の計算例)。
5,000×10=50,000で5万円です。
ここから10%が源泉徴収(税金天引き)されます。
50,000×(1-0.1)=45,000で手取りは4万5千円です。
(2013年から25年間、源泉徴収すべき税額の2.1%の復興特別所得税がかかります)。
※短い作品や書評などでは、1編につきいくらという設定もあります。
 
●基準
 
原稿料の「基準」を示すのはなかなか困難です。
例えば、学術雑誌に論文が掲載される場合では、掲載自体が執筆者の業績になる「報酬」がありますから、単純に原稿料の金額だけで(「報酬」としての)基準を示しにくいのです。
一般論としては、執筆のため費やされると想定される時間に見合った賃金・報酬程度は最低線の金額として考えられます。
 
【注意!!】 
 
・原稿依頼書に原稿料や支払い時期が明記されていない場合
 
文書、メール等、記録が残るもので、これらを確認しておく必要があります。
 
・原稿執筆のための取材や資料が必要な場合
 
その費用が支払われるかどうかを確認することも大切です。
 

印税について

●基本的な考え方
 
印税とは、出版事業に著作者も共同に参加して、その利益を分け合うというもので、出版物の価格と冊数に比例して受け取る報酬です。
この場合の著作者の取り分の割合が印税率です。
印税は版を重ねる度に支払われます。
(以下の計算に実際には消費税分が加算されます)。
 
《例》
本体価格が1,200円で、発行部数が5千部、印税率8%の場合
1,200 ×5,000×0.08=480,000 印税は48万円
10%が源泉徴収(税金天引き)されます
480,000×0.1=48,000      
480.000- 48,000=432,000 
(復興特別所得税がさらに引かれます)
 
●基準
 
・印税率
 
一般書の場合……10%が定着
児童書の場合……8%が伝統的
(挿絵の占める割合が大きいという事情のため)
 
【注意!!】
昨今幼年向けの絵童話的な本の増加により、このような場合
7%~6%と文章の著作者の印税率が削られる傾向があります。
 
・册数
 
発行部数」で册数を計算するのが、これまでは定着。
再版分については「実売部数」で計算する出版社が増加(児童書の売れ行き不振などの背景による)。
この場合は、3千部増刷したとしても、実売が千部であれば、册数は1,000となり、印税率×1,000の印税しか支払われません。
 
・支払い時期
 
印税率、册数などとともに出版契約書に記載。
初版で発行後翌月から3ヵ月くらい
増刷については3ヵ月から6ヵ月くらいまで(出版契約書によって開きがあるようです)。
 
 
 

はじめに

著作権とは

わたしたちが著作権法に出会うとき

原稿料と印税

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