知っておきたい<公募のルールとマナー>



<原稿作成編> <体裁編> <いよいよ応募編> <発送編> <その他>
※上の文字をクリックすると各コーナーにとびます。


 童話や児童文学の公募が増えています。また、それらに応募される方の数も増えているようです。プロ作家の多くが公募出身であることを考えれば、公募はひとつの大きなステップです。
 たとえプロ志望でなくとも、応募するからには受賞が目標であるのは当然のことです。そして、受賞のカギは作品の善し悪しなのはいうまでもありません。
 しかし、一方で、応募要項をよく読んでいなかったり、公募のマナーから大きくはずれているがために、内容にかかわらず選外になってしまうこともあるともよく聞きます。
 応募要項の指示に従うのは当然としても、公募のマナーがなぜ必要なのでしょうか。
 どんな作品も他人に読んでもらうことが大前提です。たとえば、ワープロやパソコンで作成した原稿をしっかりと読んでもらいたいと思うならば、読者、すなわち選者に読みやすいように体裁を整えることは、作者として当然のことでしょう。ぞんざいな印刷、綴じ方、送付の仕方は、作者の創作への態度を自ずと表していると受け取られてもしかたありません。
 では、どうしたらいいのでしょう? また、どんなことに注意すればいいのでしょう?
 そんなみなさんの疑問にお答えするべく、私たち情報ネットワーク部では、公募に応募する際の、いくつかのヒントを提案させていただくことにしました。
 ぜひ、ご活用いただければ幸いです。
 なお、このコーナーでは、創作そのものの指導はいたしておりません。
 創作の指導をお望みの方は、日本児童文学者協会の「児童文学学校」「創作教室」「添削講座」をぜひご利用ください。
 また、応募の際には、各賞の主催者から発表される「応募要項」が、私たちのアドバイスに優先することはいうまでもありません。応募にあたっては、必ず「応募要項」を熟読してください。応募要項に反し、当コーナーのアドバイスに従った結果生じたいかなる不利益に対しても、当協会は責任を負いません。
 また、過去にこんな体験をした、失敗をした、あるいは、こんな場合はどうしたらいいのかなどの、ご意見・ご質問を歓迎いたします。以下のアドレスまで、ご遠慮なくお寄せください。今後のコンテンツの拡充に役立たせていただきます。(ただし、ご質問に直接回答することはいたしかねます。また、ご質問が必ずこのコーナーに反映されるわけではないことも、あらかじめご了解ください。)




<原稿作成編>

Q1 手書き原稿とパソコンで書いてプリントした原稿、両方ありますが、応募するにはどちらがいいのでしょうか。

A1 パソコンで作った原稿があるのなら、手書きよりもそちらを応募する方がいいでしょう。わざわざ手書きに直す必要はありません。
 もちろん、手書きだからといって不利になることはありません。
 また賞によっては、パソコン原稿の場合、最終選考の時にデータを提出させるケースがありますので、データは送った原稿と同じ状態を保存しておきましょう。
 要項にはよく「400字詰め原稿用紙で○○枚まで、ワープロ使用可」とありますが、実際にこれからプロの作家としてデビューする場合、出版社とパソコン作製原稿をメールでやりとりできるのが原則となります。
 全く現在パソコンが使えないので、教室へ通ってパソコンを習い、パソコンを買うような努力までしなくてもよいと思いますが、現在既にパソコンが使えるのなら、使ってください。
なお、別項の通り、400字詰め原稿用紙にパソコンで印字したり、枠線を作る必要はありません。


Q2 児童書には漢字にふりがながふってあることが多いのですが、応募原稿にもふる必要がありますか?

A2 作者が名付けた地名や人名などの固有名詞以外に、ふる必要はありません。ふりがなをふらなければ読めないような漢字を使うと、審査の時に印象が悪い可能性があります。
 ふりがなは作者ではなく、出版社の判断でふっているものです。


Q3 小学生が読めるように、漢字をひらがなに直して書きたいのですが、ルールはありますか。

A3 その作品を読んでほしい学年までに習う漢字が基本になります。しかし、実際に教科書通りでは、かえって読みにくいこともあります。  作品内でその単語ごとに漢字かひらがなかどちらかに統一されていれば、問題ありません。


Q4 童話に応募します。すべてひらがなで、分かち書きにしたいのですが。

A4 特にする必要はなく、漢字も適宜使った方が審査の際に読みやすいでしょう。


Q5 規定に縦書きという指示がない場合、横書き原稿で応募してもよいでしょうか?

A5 規定外ではありませんので、それが理由で選考外になることはないでしょう。ただ、ほとんどの応募原稿が縦書きなので、選考する人が読みにくい印象をもつことがあります。縦書きにしておいたほうが無難でしょう。


Q6 イラストが得意なので、挿絵をつけたいのです。

A6 応募要項に挿絵をつけてほしいと書いてない限り、つけても審査の対象にはなりません。
 かえって印象を悪くするかもしれませんので、やめましょう。


Q7 応募原稿にはページをつけた方がいいのですか。

A7 審査の過程で、コピーを取ることがあります。また、何らかの理由で、綴じた紐がほどけるかもしれません。
 必ず、ページ番号はつけてください。
 ワープロ・パソコン原稿でページの数字のみが手書きの場合、綴じた位置とは対角線の隅、右上を綴じたら左下へ、はっきり書くのがのぞましいです。
 また、あらすじや表紙はページ数に含まれません。本文だけです。


Q8 応募要項に「あらすじを800字以内で」とありました。どういうことに注意すればいいですか?

A8 まず、字数制限は必ず守りましょう。
 それから、必ず物語の結末まできちんと書きましょう。「さあ犯人は誰か、詳しくは原稿でのお楽しみ」というのはいけません。
 また、本文に書ききれなかったので、と、あらすじにテーマや設定を書くのもやめましょう。
 あらすじは、審査をする人が原稿より先に目を通すこともよくあります。ここで真っ先に印象を悪くしないように、心を配りましょう。
 本文と離れた場合を考慮し、欄外にタイトルと作者を明記しておくことをお勧めします。
 一般的に、あらすじの字数にタイトルと作者は含まれません。疑問点は主催者に問い合わせた方がいいでしょう。


Q9 規定の上限枚数より一行オーバーしてもいけませんか?

A9  いけません。規定をはずれると、たとえささいなことでも、それが理由で選考外になっても、文句は言えません。


Q10 規定の枚数の下限が決められていないとき、枚数が少なくても、評価に影響しませんか?

A10 規定外ではないので、それが理由で選考外にはなりません。とは言うものの、賞によっては、「これだけあいた余白にもっと書き込んで完成度をあげることができたのではないだろうか」という印象を審査員にあたえる可能性もないとは言えません。
 しかし、最終的には自己判断です。「十枚規定だけれど、わたしのこの作品は九枚で完璧だ」と思われるのなら、それで応募されてよいと思います。


Q11 是非読んでほしいので、審査員の方へ意気込みを記した手紙を添えました。

A11 応募要項にないものは全て、印象を悪くします。意気込みやアピール、おわび、審査の対象にはいっさいなりません。
 また、作者の写真は、必要があったときに主催者から連絡が来ます。添えても意味はありません。
 登場人物の一覧表や目次や物語舞台の地図も、審査の対象外です。

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<体裁編>

Q12 ちゃんと推敲したつもりなのですが、打ち出したら誤字がありました。手書きで修正してもいいでしょうか。

A12 一文字や二文字なら、修正液などで消す・切りばりするなどして手書きで直したり、記号を使って挿入したりしてもいいでしょう。多いときは打ち直して、そのページをプリントし直します。
 また、特に短編原稿など、字数の多い挿入は「規定枚数超え」にならないかどうかもチェックが必要です。
 作業の際に消しゴムのカスなどが出たときは、きれいに取り除いてください。
 誤字は「ゼロ」に越したことはありません。特に、パソコン・ワープロの場合なら、直して調整することも手書き原稿よりは容易ですから、できるかぎり「見た目も美しく」したいものです。


Q13 ワープロで原稿用紙に印字するのは読みにくいと聞いたのですが、ほんとうですか。

A13 次の写真を見てください。

(クリックすると拡大)

 原稿用紙の枠線が文字と干渉しあって、読みにくいですね。
 もともと原稿用紙は字数換算をしやすくするための「ツール」ですので、機械が20×20に打ち出してくれるワープロ(パソコンのワープロソフト)を使っているなら、原稿用紙は必要ないのです(ただし、白紙に打つときにも体裁には気をつけねばなりません。後述します)。
 ワープロが普及し始めた時期には、要項に「原稿用紙に印字不可」と書かれることもよくありましたが、最近は常識として「白紙に印字する」が定着してきたようです。ですから、「不可」と書かれていなくても不可です。
 もちろん、主催者側の何らかの理由で「必ず400字詰め原稿用紙で」と規定されていれば、ワープロ使用の方も原稿用紙を使ってください。
 どの質問にも共通することですが、応募要項は熟読してください。


Q14 ワープロやパソコンで作成した作品を読みやすく印字できる方法はありますか。

A14 基本は「字間は狭く、行間は広く」です。
 次の写真は、原稿用紙に印字するモードで、白紙に印刷した例です。字間が広く、非常によみにくいものですね。

(クリックすると拡大)

 ワープロやパソコン(ワープロソフト)の「書式設定」をいろいろ試してください。
 文字は小さすぎても読みにくいですが、用紙が余るからといってやたら大きくする必要もなく(12ポイントくらいが標準でしょう)、まわりに十分余白をあけてください。
 きれいに印字できる書式を作れたら、それを登録しておくことをお勧めします。


Q15 パソコンで「ワード」を使っています。なにか、読みやすいフォーマットと活字の設定見本があれば教えてください。

A15 公募ごとに提出フォーマットが異なるので、ここで具体的な「見本」を提示することはできません。
 そこで、印字の際に知っておくとよい、基本的な考え方を記します。
 質問14にあるように「字間は狭く、行間は広く」です。
 まず字間から。
 マイクロソフト「ワード」で字間の設定をするには、メニューの「書式」から「フォント」をクリックし、つぎに「文字幅と間隔」をクリックしてください。「文字間隔」という項目があります。ふつうは「標準」になっていますが、通常はこれで問題ありません。あるいは「狭く」を選んでもよいでしょう。
 次に行間ですが、「広く」というのをもう少し具体的に言うと、最低で文字の大きさの最低半分はあけるということになります。
 たとえば文字のサイズを12にすると、行と行の間はその半分の6はとりたいということです。
 ただし、ワードの場合は、これを行間18と表現します。つまり文字の大きさプラス行間のあきということです。もし、文字サイズ14なら、行間は21ですね。
 実際には、ワードの場合、これでもまだ行間がつまった印象があります。あくまでこの項を担当している石崎の私見ですが、あと2ぐらい行間を開くといい感じです。文字サイズ12なら20、文字サイズ14なら23です。
 ところで、「ワード」で行間を設定するのは、結構めんどうくさいです。
 すでに原稿が打ち上がっていて、最後に体裁を整えるときは、まず、原稿全体を範囲指定してください。メニューの「編集」から「すべてを選択」をクリックすると簡単です。これをしないと、これから説明することをいくらやっても、設定は原稿全体に反映されません。  メニューの「書式」から「段落」をクリックしてください。その画面が「インデントと行間隔」のはずです(ちがっていたら「インデントと行間隔」をクリックしてください)。
 そこに「間隔」というところがあります。そのなかの「行間」という窓をクリックすると、「1行」「1.5行」「2行」「最小値」「固定値」「倍数」というのが出てきます。ここで「固定値」を選びます。
 次に、その右側にある「間隔」という窓に、指定したい行間の数字を入れるか、矢印をクリックして数字を増減します。
 もし、原稿の作成の最初から、体裁を整えておきたいときは、「ページ設定」あるいは「文書レイアウト」(これはお持ちの「ワード」のバージョンによってちがいます)から、指定ができます。
 いずれにしても、前掲の「よくない印字見本」を参考に、ああならないように、いろいろとためしてみることをおすすめします。


Q16 パソコンやワープロで印字するときの字体で気をつけるべきことはありますか?

A16 ごく一般的な「明朝体」がいいと思います。ゴシックでは線が太すぎて、字の大きさによってはつぶれがちになることもあります(賞の規定によってはA4サイズに40×40、などという印字の仕方もありますので)。
 また、書体名に「P」がついているものは「プロポーショナルフォント」といい、「体裁をよくするため」に自動的に字間を詰めたりすることがあります。使わない方が無難です。応募原稿にとって「よい体裁」とは、20なら20と、律儀に一行当たりの字数を守ることです。
 ただし、行末の「禁則処理」は必要です。ワープロやワープロソフトには、処理方法を決めるところがあるはずです。「ぶらさがり」とは、最後に句読点が来たときに欄外に打つ機能、「追い出し」とは反対に、同様の状態の時に句読点とその直前の文字を次の行へ送る機能のことです。
 どちらにするかは好みです。くれぐれも、行頭に句読点が来ることのないようにしてください。


Q17 キャラクターのせりふごとに、字体を変えたいのですが?

A17 あまり意味がないと思われます。読み手(選考委員)に「うっとうしさ」を与える可能性もあります。また、最終選考のために全候補の原稿を同じ書式に打ち直す賞も存在しますので、字体や書式の「工夫」が生かされないこともあるでしょう。
 同様に、部分的な色替えも、無意味になる可能性が高いです。応募原稿のコピーをとって、それを選考委員に回す賞も多いからです。

Q18 印字のときの注意は?

A18 今、さまざまな用紙が出回っていますが、応募用に打ち出すときは表面のなめらかな、「試し刷りに大量に使う紙より、ワンランク上の紙」をお試しください(最上級である必要はありません)。
 応募原稿は、選考委員に出すラブレターである、と想像するのもいいかもしれません。自然に、インクの乗りのいい紙で、誤字脱字もなく、読みやすく……と工夫できるのではないでしょうか。
 インクリボンを使うワープロ専用機をお使いの方も、「巻き戻したリボン」なども応募時には避けてください。また、「感熱紙」はめくりにくい上に文字が消える場合もあります。使わないでください。


Q19 同人誌に載った誌面をそのまま、あるいはコピーして送ってはいけませんか?

A19 いけません。募集要項の原稿体裁を守りましょう。

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<いよいよ応募編>

Q20 原稿の綴じ方を教えてください。

A20 縦書き原稿の場合、右上で綴じてください。10枚〜15枚程度であれば、ホッチキスで大丈夫でしょう(ただし、要項で「ホッチキスは不可」という場合もありますから、注意してください)。『ガチャック』という金属製の留め具もありますが角が尖っているため、場合によっては封筒を破ってしまう場合もあり注意が必要です。
 ホッチキスで綴じることができない場合、原稿枚数の多い場合には、パンチで穴を開け綴じ紐で綴じてください。なお、クリップははずれやすいので避けましょう。要項に綴じ方の指定がある場合には、その指示に従ってください。


Q21 原稿一枚目にタイトル・作者名等の記入は必要でしょうか?

A21 要項に特に指示がない限り無記名です。選考の多くは、応募者の名前を伏せて行います。名前等が記入されていると選考のとき、消すという手間をかけることになります。タイトル・作者名等必要事項は、原稿の表紙に要項に従い記入しましょう。また要項に疑問があれば、各自主催者に問い合わせることをおすすめします。


Q22 表紙はどのように書けばいいのでしょうか?

 要項に従い必要事項を記入しましょう。
 表紙のタイトル、本名、筆名、住所にはルビをつけるといいでしょう。
 要項になくても、携帯番号やメールアドレスは記入することをおすすめします。また、長編などの作品の場合は、400字詰め換算枚数の記入も必要です。


Q23 略歴・応募歴・受賞歴は書いたほうがいいですか? また受賞歴を書くよう指示のある場合、どの程度記入したらよいのでしょうか?

A23 基本的に応募者の自由なので、要項に記載された以上のことを書く必要はありません。また、どうしても書きたい場合でも簡潔にしましょう。(過去すべての学歴、職歴・バイト歴を書き並べるほど細かく書く必要はないです)
 受賞歴も自由です。要項で記載を求められていなければ、特に必要ありません。たくさん賞を受賞しているからといって、選考が優位になるわけではありません。
 要項にその旨が書いてあるケース(出版社系の新人賞では、有望な書き手の情報を知りたいというところもあるようです)では、所属同人誌、過去の受賞歴、最終選考に残った賞があるならそのことも、書き添えておくとよいと思います。
 迷った場合には、主催者に問い合わせてください。


Q24 要項に「あらすじ(梗概)を添付すること」とあります。これは作品と一緒に綴じるべきでしょうか? また、理想の綴じ方があるのでしょうか?

A24 あらすじや梗概の添付を求められた場合は、表紙の下、本文原稿の上へ、一緒につづればいいと思います。


Q25 長編など枚数が多く一部に綴じられない場合、二冊に分けてもよいのでしょうか? その場合、どういったことに注意したらよいでしょうか?

A25  ひとつの目安として、一分冊200枚というのがあります。
 表紙はそれぞれ全く同じもの(作者の住所や電話も書いてあるタイプ)で、ただしタイトルの後に「二分冊の第一冊 1枚目から200枚目」などとします。
 梗概は第一分冊の最初のみに添付すればかまいません。
 ただし、児童文学で分冊が必要なほどの枚数になるケースは少ないと思われます。
 また、仮に300枚の長編を書いた場合でも、それが一行40字×20行の印字が許されていれば、150枚ですむわけです。
 なるべく分冊しなくてすむような方法があれば、その方がいいような気がします。

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<発送編>

Q26 原稿は書留で送ったほうがいいのでしょうか?

A26 普通郵便でもかまいません。でも大事な原稿ですので、万一郵便の事故が起きたことを考えると、控えが残る簡易書留、あるいは宅配便などを利用するのもよいかと思います。


Q27 封筒に合わせて原稿を折ってもいいですか?

A27 主催者がコピーをとる場合もありますので、折っても二つ折りくらいまでにしましょう。定型の封筒に合わせていくつにも折ると、見た目にもよくありません。
 また原稿が厚い場合、封筒の大きさも、余裕があるほうが破損などのトラブルをふせぎます。


Q28 原稿はビニールで包んで送った方がよいと聞きました。他に原稿を無事に送るため工夫できることはありますか?

A28 ビニールで包めば水に濡れることはふせげますので、原稿への配慮は充分だと思います。厚紙をいれて、原稿をたるませないという方法もあります。


Q29 早目に送ったほうが、選考に有利というのは本当ですか?

A29 そんなことはありません。応募作品は〆切り以後集計され、審査されますので、特に早く送ったから有利ということはありません。しかし、郵送トラブルがあるといけないので、2〜3日の余裕をみて送られることをおすすめします。


Q30 〆切りは絶対守らなければいけないでしょうか? 1〜2日遅れたら読んでもらえないのですか?

A30 もし〆切りに間に合わないとわかっているのでしたら、次回にするとか他の公募に応募されることをおすすめします。
 〆切りギリギリに書き上げるとしたら、充分な推敲もできていないということですし、〆切りを守るということは、プロをめざすのであれば必須条件のひとつです。公募時代から訓練と考え、〆切りを守るよう努力しましょう。


Q31 封筒の表の書き方ですが、宛名が***係となっていたらその下にはなにも書かなくていいのですか。

A31 「***係」の下には、御中をつけましょう。
例  日本児童文学者協会「長編児童文学新人賞」係 御中
左側に「原稿在中」と朱書すれば、応募原稿であることがわかるでしょう。裏には自分の住所、氏名も忘れずに。

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<その他>


Q32 応募作って、本当に読まれているんですか?

A32 読まれています。選考委員(「選考の先生」として、名前が公表されている方たち)が応募作のすべてを読む賞もありますし、あらかじめ予選を行って、最終選考に残ったものだけを選考委員が読む賞もあります。
 賞にもよりますが、予選は、作家や評論家、翻訳家、編集者など、児童書にくわしい人たちが予選をうけもつことが多いようです。
 しかしいずれにせよ、「あらすじ」だけを読んで、選考からはずれるというようなことはなく、必ずだれか選考者が最後まで作品を読んでいます。


Q33 募集要項に「アマチュアに限る」「児童書を出版したことのない人に限る」とありますが、これはどういうことでしょうか。

A33 一般的に考えて「商業出版」をしたことのない人に限る、ということでしょう。同人誌掲載や自費出版の本を出したことがあるというのは、この場合「アマチュア」の範疇と考えてよいと思います。
 しかし、のちのトラブルを未然に防ぐためにも、応募作に「これは同人誌『プロモーション』2004年12月号に載せたものです」等、一言そえておくとよいでしょう。
 アンソロジーに採用されて印税をもらったことがある、絵本を出版したことがある、本は出したことはないけれど新聞や商業紙に載ったことがある、などの「アマチュアの範疇に入るのか迷う」場合は応募したい賞の主催者に問い合わせしてから、応募したほうがよいでしょう。
 なお、新人賞でも、プロや本を出したことのある人が応募できる賞もあります。応募規定はよく調べてから応募しましょう。


Q34 応募にあたって、過去の受賞作を読まないといけないのでしょうか?

A34 「読まないといけないもの」ではないでしょう。
 しかし、たとえば「ファンタジー作品募集」と、はっきりとうたっている賞に、過去追想風エッセイとか、どう読んでも純文学系私小説などを送っても、それはカテゴリー外になり、受け入れられる可能性はとても低いでしょう。そういうカテゴリーエラーをさけるための下調べとして、受賞作を見てみるのは、よいと思います。
 ただ、「受賞・出版されやすい傾向をさぐる」目的ならば、受賞作をたくさん読んだ方が有利かというと、いちがいに有利とはいえません。
 よほど主催者側の内部事情や、出版事情に詳しい専門家なら別かもしれませんが、そうでない人が「受賞・出版されやすい傾向」を受賞作から探り出すのは、とても難しいことだと思います。


Q35 応募に際してペンネームを変えるのはよくないでしょうか? たとえば最終選考に二回残ったのに、ちがうペンネームにしていたら、前回選考に残った人とは別人に思われて、不利になるなどのケースはあるでしょうか?

A35 あまり影響はないと思われます。通常応募の際には、本名と住所と略歴(略歴は最終選考時に提出する賞もあります)も書いて出しますから、最終選考に残る、あるいはとても印象深い作品であれば、主催者側が本名をチェックしますので、同一人物とわかります。
 しかし、不安を感じるのであれば、応募原稿に「『おとうさんがつぶれた』という作品で、第八回新人賞に最終選考まで残りました」というようなことを書き添えておけば、さらによいと思います。


Q36 同じ作品を複数の賞に応募してはいけませんか?また書き直したものを応募してもいけませんか?

A36 いけません。作家志望者なら、絶対にしてはいけない「守りごと」です。二重応募が発覚すると、受賞取り消しになることもあります。  また、自分ではかなり書き直して別の作品にしたつもりでも、(たとえば片方が短編、もう一方は三百枚ぐらいの作品、といったかなり大きな改稿でも)同じ案のものを同時に複数の賞に応募するのは、あとで主催者側が知った場合、のちのちトラブルのもとになる可能性があります。避けたほうが無難でしょう。


Q37 落選したものを他の賞に応募してもいいでしょうか?また落選したものを書き直して応募してもよいでしょうか?

A37 落選が正式に確定した(落選の通知が来た、正式に受賞者の名前が公共の場で発表された)場合は二重応募にならないので、基本的にはかまいません。(ただし、賞によっては、それを快く思わないところもありますが……。)
 落選確定したものを書き直して応募するのは問題はないでしょう。


Q38 募集要項に「未発表作品に限る」とありますが、この場合未発表というのは、どういうことなのでしょうか?

A38 一般的には「商業出版したもの」「新聞・雑誌などで発表したもの」「公募で入賞したもの」でなければ問題ないと思います。
 同人誌に掲載したもの、自費出版したもの、ホームページに掲載したものは「未発表作品」の範疇にはいることが多いようです。しかし応募する前に、主催者側に問い合わせた方がよいでしょう。
 また、トラブルを避けるためにも、主催者からOKをもらっても、応募作品に、「この作品は『いそがしい部長の部屋』というサイトで2004年1月から3月まで掲載していました」等、書き添えておくとさらによいでしょう。


Q39 入賞しても本にならなかったとき、著作権が主催者にうつってしまって、その後作者が自由に使えないというケースがあると聞きましたが。

A39 一般に、企業の賞などは「入賞作品の著作権(または使用権)は主催者にあります」などとなっているようです。
 これは受賞作を使えるのは主催者であるということで、極端な場合、その作品がベストセラーになっても、映画化されても、応募した作者に見返りはないかもしれません。
 出版社主催の新人賞の場合も、A社で受賞した作品は、A社が出版権をもつのが普通ですから、「選考委員に認められた作品なので、もっと大手のB社で出したい」といっても通りません。
 プロを目指す方は特に、送り出した自分の作品がどうなるのか、注意を払いたいものです。著作権等についての扱いは賞ごとにちがいますから、必ず要項に目を通し、不明な点は主催者に確認しましょう。